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 いつものようにごろつき百姓どもを相手に新たに入手した太刀を段上げしていた。あたりには数名のおそらく同じような目的であろう武芸者が数名いた。
不思議なものでしばらくそうしていると仲間意識のようなものが芽生えることがあるのは拙者だけだろうか?なんとなく領域を分け合って他者のたーげっとを横取りするようなことのないように気を配り、危うい場面にでも出くわそうものなら、手助けも辞さないという気持ちである。
 拙者が調子よく段を上げているといつからか、近くで虚無僧の笠を付けた方がおられた。壮の型のようである。何か気になったというのはお互いにそうだったのかもしれない。突然、回復の施しが・・・「うむ?」離れてはいたがお辞儀をし、礼を言った。こうした行為というものは本当にありがたいものだ。特に隙が多く防御に問題のある重撃の時ならばなおさらである。人の親切に触れれば気分も良くなるものだ。しかし、しばらくして突然、何者かに後ろからいきなり斬りつけられた。ダメージの大きさからしてもかなりの手練であることは明白。
見ると青い印で頭上に『不届き者』の通り名が付けられていた、その名の通りの不届き者だ。とっさに逃げるしかなかったが心がざわめいた。逃げるというのは時と場合によるのだ。この手の輩は拙者が逃げ切ったところで他の方に斬り掛かるに違いない。できる限りの応戦をせよ、と心が叫ぶ。ごろつきどもとの斬り合いでいささかダメージを受けてもいたが、とにかく敵に狙いを定める為に何太刀か受けながらもなんとか捉えた。まともに斬り合えば負けは見えているのでとにかくすてっぷを駆使し、回った。太刀の威力は大差があれど動きには差がない!その時、さきほどの虚無僧の壮の方が加勢してくださった。一本折られたが回復しながら数発見舞う。しかしダメージが少ない。。。返されるダメージは比べ物にならなかった。己の弱さが腹立たしい。さらに動き回ったせいで辺りにいた香車牙が2、3頭反応してしまった。敵を狙うどころか香車牙の体当たりもかわさなければならなくなった。自分に向かって来ないと判断すると不届き者は拙者を援護してくれていた虚無僧殿に狙いを変えていった。なんということか!拙者の無能ぶりが他の方に迷惑をかけてしまった。しかし、残り1本になった太刀はまだ段上げ中のものであり、それもダメージが大きく、ここからの逆転は無理!しかし、虚無僧殿が!どうかご無事でいて下され!と心の中で祈り、村にいる自宅籠屋のもとへ走った。幸い武器庫にまだ数本、使える太刀が残っている。急いで3本を取り替え、村に戻ると、二人が村の入り口まで来ていた!虚無僧殿は無事だが、未だ戦闘は続いている!しかし、なぜ、どなたも手助けをしないのだ!同じ勢力のお仲間ではないのか!?分が悪いと判断して手を出さぬのか!
なんとか、なんとか倒せなくてもかまわぬ、再びこちらに的を絞らせなければ、虚無僧殿に申し訳が立たない!しかし拙者が離脱していた間に不届き者もかなり消耗していた。虚無僧殿の実力は相当のものだ。ついに不届き者が逃げ始めたところを拙者も追った。斬りつけると拙者に気付いて再びこちらに向かって挑んで来た。残りの体力からしても正面からの斬り合いで勝てると判断してその場ででき得る限りの手数を出し続ける!
遂に不届き者はその場に倒れ込んだ。最後の一手は拙者であったが、ほとんどは虚無僧殿の力。鍛冶屋に走った虚無僧殿を追う。礼を言わねば気が済まない。
大切な刀を折らせてしまった。。。
恩人鍛冶屋から出ていらしたところに深くお辞儀をし、お礼を申し上げた。
「いやあ、倒せてなによりです」
なんという気負いの無さ。本当に強い人というのはこういうものだと思った。
この方が近くにいなかったら、拙者はあの場で行き倒れていたのだ。重ね重ねお礼を申し上げ、道中のご無事を祈って別れた。お名前の掲載許可は取っておらず、伏せさせていただくが、拙者、生涯其方のご恩を忘れませぬ。また再び何処でお会いできたならば、酒でも飲みかわしましょうぞ。

しばらく物思いにふけり、少し人里離れた場所で修練いたそうと思った時、再び先ほどの不届き者の姿が。
我が勢力の二名の武芸者と話をしているのが聞こえた。若者を先輩武芸者が「45段では二人でも分が悪過ぎる。相手にしてはいかん。」とたしなめているようであった。不届き者は斬りつける様子でもなく二人と会話していたので、少し聞いてから話に加わらせていただいた。
「拙者のような者を相手にする方とは思えんが?」
と問うと、隣にいらっしゃった先輩武芸者殿も
「うむ、23段の俺を斬ってもつまらないでしょう?」
と。不届き者曰く、
「田村さん知らんし~。斬る斬られるのゲームしょ」
その言葉を聞いて拙者は返す言葉を失った。拙者のような無名の半端な素浪人を知らないのは当たり前であるが、拙者に的を絞って斬り掛かる時に段位はわかっているはず。
その前に対人相手がヘタだから来てみた、という言葉も会話の中で聞いていたので腕試しの意味もあったのかとも思ったが、その時メインには25段の山草を持っていた拙者と、23段のその方に挑んだというのは、45段の腕前がある者が自分の剣技を磨く為に敵勢力に一人で乗り込んで来たというにはいささか陳腐な言い訳だ。運営者がぺなるていの意味を持って設置した『不届き者』という通り名を面白おかしくあたかも箔が付いたとでも言いたげに冠しているのだろうか。
腕試しというのは自分と同等、あるいは上段の者に相対することを言うものだと思っていた。拙者が通っていた道場でもそう教わった。はるかに下段の者に、しかも他との戦闘中に後ろから斬り掛かるなどということが、拙者の思考の中には存在しない。
人斬り、辻斬りの類いもげえむの運営上あり得ることと認識されている。そういった行為もぷれいの一部として、一方的に非難すべきではないと、御上も御触書を出しておられる。
拙者も幕末を生きる舞台として、演出の一部として捉えるようにしているつもりだ。そうでなければ勢力に別れて合戦などする意味もない。
 だから、拙者は何も申すまい、と思った。そこで説教しても詮無いこと。不届き者の心には響きますまい。根本的に思考の異なる者として認識するよりほかないのだ。
ただ、拙者は、恩を受けて感じた。見て見ぬ振りはできぬと。分が悪くとも挑まなければならないときもあるのだと。
そして、そんな集団をつくれないものか、と。

時は幕末。混沌とした日ノ本の国の抗争地域にいるのだ。
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