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八千矛。

『 郊外に豊富な鉱石資源があり、かつては栄華を極めた天豊地方第二の都だった。
富により増長した民衆の反乱、為政者の腐敗、自然災害…様々な要因が重なり、
かつての面影は見られない。

死罪を言い渡された罪人が送られる監獄があり、
天豊地方で一番治安が悪い都である。 』~公式頁より~


彼は、古賀で出会った一人の男を追って天狗尾根、御茶水、そして樋越村を歩き回り、男の知り合いから居所を聞き出した。
世話になっている職人がいるという美玖に戻り、そこからまた十郷村へ。そこの口入屋で八千矛に向かったと聞いた。
そしてついに八千矛で男が住む長屋を見つけた。
武器庫と机以外なにも無い殺風景な部屋だった。
三髪という町を探して歩いてみる。天豊のあちこちにもある市場がここにもあった。
両勢力の武芸者が行き交う町だけに他の市場よりも賑わっている。

彼の名は藤岡源舟。それぞれ異なる鍛錬を施した三本の牙己(火・風・雷)を持つ。
そろそろ違う刀でも買おうかと思ってもみたが金もない。
藤岡は懐に残ったわずかな銭で軽く飯でも食うことにした。
飯屋前

「いらっしゃいませ、お侍様、空いてるお席にどうぞ。」
と主人に言われ、ぐるりと店内を見回したその時だった!
表へ出ろ
「貴様~~~~~ッ!やっと見つけたぞ!」
藤岡が探していた男が顔を上げて言った。
「おお~~!これはこれは、藤岡殿ではないか!久しぶりですな。」
その顔には懐かしい友を見るように笑みさえ浮かべていた。藤岡はその微笑みに怒りを増幅させられ、まくしたてた。
「久しぶりじゃねえ!俺は貴様を探して天豊を歩き回ったんだぜ!」
藤岡の脳裏に男を追って歩き回った旅の日々が過った。
「ん?なぜだ?拙者に何か用か?」
「用か?じゃねえ!あの時・・・あの時・・・」
「まあ、落ち着け。なんか食うか?あの時のお礼におごるぞ?今、口入屋で妖物討伐の報酬をもらってきたところで若干懐が温かいぞ?」
男は余裕の笑顔で藤岡を諭すように促した。
「そ、そうか、かたじけない。・・・っておーーい!」
一瞬、“おごる”のひと言を受け入れそうになるが慌てて拒絶する藤岡。
「だから、何をそんなに怒っておられるのだ?」
眉間にしわを寄せて呆れるように聞き直す男。肩当てのない胴衣から筋肉が隆起している。
男の名は田村斬影。
「あの時のことを覚えているか?」
藤岡は男を追ってくるきかけになった出来事を思い出させようとして話し始めた。
「古賀の茶屋でのことか?覚えておるぞ?偶然居合わせた茶屋で『やあやあ、修行中の武芸者同士がんばりましょう!』と二人は意気投合。拙者は古賀の出身で貴殿は由奈の漁師の家に生まれたと。そこで貴殿が注文して食べていた団子を拙者に分けて下さった、という前回のあらすじ・・・」
ひょうひょうと応える田村に苛立つ藤岡、
「あらすじじゃねえよ!誰に報告してんだよ!」
田村「拙者の武露具の有り難い読者様方である。」
藤岡「何をわけのわかんねえことをほざいておる!」
田村「まあ、食え。」
藤岡「あ、いただきます。」
田村「それで?」
藤岡「ああ、それでだな・・・」
~回想シーン~
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「よかったら団子食べてください。」「かたじけない。では遠慮なく。」
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「ごちそうになりました。拙者、そろそろ先へ参りますゆえ。」
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「じゃあね~!またどこかで会おうね~!」
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「御意」
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「え、えええ~~~~~~っ!?」
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「あ、あの野郎、全部食っちまいやがった!」
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「・・・というわけなんだ。」
藤岡はひととおり話すと、田村の顔を覗き込んだ。
「左様であったか。それはそれは誠に申し訳なかった。しかし、それだけで拙者を追って来られたのか?」
田村にとっては些細なことである。
「それだけだとぉ!?」
思わず刀を抜く藤岡。ひるまぬ田村。
見つけたぞ!
「まあ、食ってからにせぬか?店の主人にも迷惑がかかろう?」
「貴様のその相手を小馬鹿にしたような態度が気に食わねえんだ。表へ出ろ!」
いよいよ沸点に達した藤岡の怒りに田村は諦めたように答えた。
「左様か・・・仕方ない。先に出ててくれ。食ったら行く。」
ため息まじりの意外な反応に肩すかしを食ったような藤岡は素直に先に店を出た。
「うん。わかった。先に行ってるね?前で待ってるから。」
先に行け
店を出る藤岡を目で追いながら、田村は店主に詫びた
「ご主人、すまなかった。お勘定ここに置いておくよ。」
店主「だ、大丈夫ですか?あちらもかなりの手練かと。お侍様、裏口からお逃げ下さいませ。」
田村「なあに、あやつ、それほど悪い輩でもない。大丈夫だ。」
店主「・・・お気をつけて!」
対峙
店を出て来た田村を見て藤岡が言う。
「遅いぞ、田村!」
「すまん。しかし、藤岡殿、拙者は今、本来の重撃の用意をしておらぬ。遊びのような装備で出てきてしまったのだ。」
田村は軽装で来たことを藤原に告げるが、それが戦闘を避ける為のウソだと思った藤岡は応じない。
「つべこべ言わず刀を抜け!」
困った顔の田村が
「刀って言っても・・・これなんだが」
といいながら腰から武器を抜いた。
「なんだそれはぁ!杓文字ではないか!貴様、俺を侮辱しとるのか!」
「ん?けっこう使えるのだぞ?」
藤岡は呆れ顔で刀を峰打ちに持ち替えた。
「ふんっ、お前を斬り殺すつもりはない。俺の太刀がひと太刀でもお前の体に触れたら土下座しろ。いいな?」
「よかろう。」
田村は藤岡の慢心を察して、少し笑ったような顔をした。
勝負有り
たぁーっ!!
田村も元々は重撃兵である。重撃ゆえの長所も短所も知っていた。
藤岡が長刀を抜くと同時に間を詰める田村、ふたつの杓文字を交差させるように一瞬だけ隙のできた藤岡の胴に叩き込んだ。
信じられないといった顔でひるむ藤岡、
「ま、まいった。。。」
地面に跪き、両手を付いた藤岡に田村が歩み寄る。
「藤岡殿、面を上げられよ。拙者、そのようなことを好む性分ではない。」
「しかし・・・俺の負けだ。」
潔い藤原の態度に安堵の表情を浮かべた田村が言う。
「代わりに、これから八重に虎を退治にいくのだが、同行してはもらえぬか?藤岡殿。」
「ふ、ふじおかって呼んで?」
「御意!藤岡!参ろう。」
「待て。店の主人に詫びを入れて来る。」
「うむ。」
二人は馬を駆り、八重へと向かった。
土下座

藤岡源舟。由奈出身、新政府所属、重撃兵。現在26段。三本の牙巳の使い手。

仕事から戻り、長屋で田村が水属性の鍛錬を施してあった牙巳26段を藤岡に預けた。
ひどく喜ぶ藤岡の強面が柄にもなく少年のようであった。
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